スターンバーグの愛の三角理論とは:親密さ・情熱・コミットメントで読み解く7つの愛の形
この記事では「愛の三角理論」というテーマを取り上げ、3つの要素の意味と、そこから導かれる7つの愛の形を順に見ていきます。より詳しい理論的な背景は、愛の三角理論についてのページにまとめています。また、自分たちの会話がこの3要素のどこに位置しているのか気になる方に向けて、パートナーとの会話をもとに分析するScanMyLoveというサービスも提供しています。
スターンバーグの愛の三角理論とは
愛の三角理論は、アメリカの心理学者ロバート・スターンバーグが1986年に発表した理論です。イェール大学で研究していたスターンバーグは、それまで漠然と語られがちだった「愛」という感情を、親密さ・情熱・コミットメントという3つの要素に分けて説明しました。
3つの要素はそれぞれ独立して変化します。ある関係では親密さだけが強く、別の関係では情熱だけが際立つこともあります。そして、どの要素がどれだけ存在するか、その組み合わせによって、関係の性質そのものが変わってくるというのが、この理論の中心的な考え方です。
3つの要素とは何か
親密さ(Intimacy)
親密さは、情緒的な近さ、信頼、分かち合いを指します。相手に心を開き、弱さを見せられること、支え合っていると感じられることが土台になります。長く付き合っているカップルほど、親密さは会話の端々ににじみ出るものです。
情熱(Passion)
情熱は、惹かれる気持ち、身体的な欲求、高まりを指します。出会って間もない関係で最も強く表れやすい要素であり、ロマンティックな高揚感やときめきと結びついています。
コミットメント(Commitment)
コミットメントは、この関係にとどまり、相手とともに未来を築いていこうとする意識的な決断です。短期的には「この人と付き合い続ける」という決意、長期的には「この人と人生を共にする」という選択として表れます。
3要素の組み合わせが生む7つの愛の形
スターンバーグは、この3つの要素があるかないかの組み合わせによって、7つの異なる愛の形を区別しました。
- 完全な愛(Consummate Love):親密さ・情熱・コミットメントの3つすべてがそろった状態。理想とされる一方、維持するには意識的な努力が必要だとされます。
- 友愛的な愛(Companionate Love):親密さとコミットメントは強いが、情熱は弱まっている状態。長年連れ添った夫婦や、深い信頼で結ばれた関係によく見られます。
- ロマンティックな愛(Romantic Love):親密さと情熱はあるが、コミットメントはまだ固まっていない状態。交際の初期段階に多い形です。
- のぼせ上がり(Infatuation):情熱だけが強く、親密さもコミットメントもまだない状態。いわゆる「一目惚れ」に近い状態です。
- 空虚な愛(Empty Love):コミットメントだけが残り、親密さも情熱も薄れている状態。惰性で続いている関係に見られることがあります。
- 愚かな愛(Fatuous Love):情熱とコミットメントはあるが、親密さを育てる時間がまだない状態。出会ってすぐに将来を約束するような、駆け足の関係です。
- 好意(Liking):親密さだけがあり、情熱もコミットメントもない状態。友情に近い、穏やかなつながりです。
情熱は時間とともに変化する
スターンバーグの理論でしばしば注目されるのが、情熱の性質です。情熱は関係の初期に最も強く、時間とともに自然に落ち着いていく傾向があるとされ、目安としてはおよそ18〜36か月ほどでその高まりが和らいでいくといわれています。
これは関係が終わりに近づいているという意味ではありません。健やかに続いているカップルの多くは、情熱が落ち着いていく代わりに、親密さとコミットメントを厚くすることでその変化を補っています。「完全な愛」を維持するとは、情熱を無理に燃やし続けることではなく、3つの要素の配分を意識的に更新し続けることに近いといえます。
三角形の形は、カップルごとに違っていい
もう一つ大切なのは、三角形の「形」そのものに優劣はないという点です。親密さとコミットメントが厚く、情熱が控えめなカップルが、深く満たされていることもあります。反対に、情熱は強いのに親密さやコミットメントが育っていない関係もあります。
困難が生まれやすいのは、どちらか一方の三角形の形が偏っているときではなく、二人の三角形の形が大きく食い違っているときです。一方は「友愛的な愛」で満足しているのに、もう一方は「ロマンティックな愛」を求め続けている、といったすれ違いが、関係の摩擦につながることがあります。
会話の中に三角形を見つける
親密さ・情熱・コミットメントは、抽象的な概念に見えますが、実際のやり取りの中にも手がかりとして表れます。たとえば、気持ちを打ち明ける言葉や支え合う表現は親密さのしるしになり得ますし、会いたいという気持ちや相手の存在への言及は情熱の表れとして読み取れる場合があります。同じように、これからの予定や約束についての言葉は、コミットメントの一端を示していることがあります。
こうした観点から、パートナーとの会話を振り返ってみたいという方に向けて、ScanMyLoveでは、こうした3つの要素を手がかりに会話を読み解くサービスも用意しています。ただし、これは関係の未来や相手の本心を確定するものではなく、自分自身の理解を深めるための材料の一つとして使うものです。
よくある質問
完全な愛は本当に存在しますか?
スターンバーグによれば、親密さ・情熱・コミットメントの3つがそろった「完全な愛」は存在するとされますが、その状態を長く保つのは簡単ではないとされています。とくに情熱はおよそ18〜36か月のうちに自然と落ち着いていく傾向があり、健やかなカップルは、そのぶん親密さとコミットメントを厚くすることで関係を支えています。
三角形が偏っていても、幸せな関係と言えますか?
言えます。大切なのは3つの要素がすべて等しく強いことではなく、二人の三角形の形が近いことです。親密さとコミットメントが厚く、情熱が控えめなカップルが深く満たされていることもあります。困難が生まれやすいのは、二人が求めている愛の形そのものが食い違っているときです。
会話の文章から情熱をどう読み取るのですか?
情熱は、感情の強さを表す言葉や表現、会いたいという気持ちの表明、相手への賛辞といった形で表れやすいとされています。また、やり取りの頻度や返信の速さといった行動面にも、情熱の高まりが表れることがあります。ただし、こうした手がかりはあくまで傾向であり、断定するものではありません。
理論の詳しい解説と、ScanMyLoveがこの理論をどのように分析に活かしているかについては、愛の三角理論についてのページをご覧ください。
